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フォコマートⅡcについて

フォコマートⅡcという引き伸ばし機を使い始めて感じたことは、何よりも操作についての説明などが全くないということでございました。

まあ、使いながらある程度は操作方法はわかってくるとはいえ、なかなかハードルが高いものになります。

わたくしもドイツ人のドイツ語によるドイツ人のための使い方動画を見て、ある程度の操作感を養って行っている状態であります。なお、ドイツ語は当然わかりません。

しかしながら、日本人は勤勉で情熱的な人種でありますのでそこまでの必要性を感じないのかもしれませんが、とても不便でありますので、不肖ながらわたくしが使い方を記載していこうと思っている次第であります。

全てを網羅することはできないかもしれませんが、少しずつでも記事を補填したり、わたくしも勉強しながら記載していこうと思っているものですから、多少の参考になればと思っております。

まず、フォコマートについてでありますが、言わずもがなライカによるライカのための引き伸ばし機であります。

1933年に最初のフォコマートが発売されてから、フォコマートⅡcが1935年に発売されておりますので、単純に考えて89年前の機械ということになります。

90年前の機械を私どもの享受させていただいていることを考えても(製造年にもよるので一概にはこの年数ではありませんが)製造した職人たちの技術力の高さに驚かされるばかりであります。

わたくしが使用している6×9サイズも対応のフォコマートⅡcは1954年からの発売でありますので68年前からのものになります。今でもスムーズにどこにも支障もなく動作していることからも信頼の技術力と言えるでしょう。

第一回目のフォコマートの説明書については何から話していきましょうや。

我が家のフォコマートⅡcですが、部屋が雑然としているのはご容赦ください笑

なんせ暗室を拡張したばかりということもあって、なかなか細々としたところについては片付けが追いついていない状態でもあります。

この机にフォコマートを持ち上げるのもヤマトの配達員の方の好意によって持ち上げてもらったものであります。それほどに重いです。余程力と体力に自信のある人でなければ、持ち上げることができないくらいに重量があります。

しかしながら、この鉄の塊であることが何十年、何百年も起動し続けることができる堅牢さと精密さを保持できるのではないでしょうか?

ドイツ人の勤勉さの表れともとれますし、ライカの誇りというものも感じます。

この独特のお釜のような風貌がまたなんとも言えないデザインであります。

機能美とも言えるものでありましょう。この中に引き伸ばし電球が収められております。

この話もまた次回以降にしていこうと思っております。下の木材は下駄という名称を日本の方はされますが、まあ、投影したものを映す場所でありますし、イーゼルを置く場所など作業台というに相応しい名称でありますが、わたくしはこの下駄をいう名称が気に入っていて、誰かとフォコマートの話をするときにも下駄という名称を使います。

わたくしはイーゼルはLPLのものを使っておりますが、ライツのイーゼルであれば自動でフォーカスを合わせることもできます。他にもダーストという引き伸ばし機を使っておりますので、専用のイーゼルは使用しておりません。そもそも、一枚一枚セットするたびにピントを合わせておりますのでそこまで不自由な感じを受けません。

引き伸ばし機の電球はこのようにセットされています。

現在はこの電球も無くなってきているのでLED電球で代用する人もいらっしゃると聞いたことがあります。

電力は釜の頭のところから下駄を通じてコンセントからタイマーへとつながる形になります。

この螺旋状の筒を通じて、電線ケーブルを通しているものであります。

まず、それぞれの箇所の説明から始めてみたいと思っております。

最初に引き伸ばしレンズが装着される場所からの説明からと思いっております。

何よりも一番目立つ場所であり、ここになんの引き伸ばしレンズが入っているかによって変わってきますので、先に説明をしておいて損はないと思っております。

短い筒と長い筒がございますが、その違いはというと短い筒の方に35mm用の引き伸ばしレンズを装着します。捻じ込むことで取り付けることができます。最初フォコマートを扱い始めるときにここを恐る恐る触る場所と思いますが、結構硬い状態になっていることがあるので、少し力を入れても問題はないので大丈夫であります。

長い方の筒は6×9サイズの引き伸ばしも対応可能なのでこちらに装着することができます。フォコマート1cにはこちらがありませんので注意。

引き伸ばしサイズによってはこちらのつまみを摘んで右側にスライドすることができます。

35mmから6×9サイズにフィルムをセットした際はこちらをスライドして対応することができます、カチンという音がするまでしっかりとスライドしてよいものです。

またピントを合わせる方法が順序とまでは言いませんが、ギザギザの回転するリングを動かすとピントを合わせることが可能になります。

そこでスムーズに動かすことができるものはいいフォコマートでちゃんと整備されているものでありましょう。

この指差しをしている箇所がピントストッパーであります。ぬるぬると動くピントリングでありますのでこちらでピントが動かないようにするものでありますが、これ自体が紛失されている個体はよくあります。

あれば便利、なければないでどうにかなるという代物でありますので、なかったとしても悲嘆する必要性はございませんので安心していただいて大丈夫でございます。

その下の赤い薄い膜のようなものはフィルターでございます。これもまた別の機会でちゃんと説明しますが、ある程度の引き伸ばし作業をされている方ならそこまでの説明も不要かとは思いますので、悪しからず。

わたくしのブログでは不要と思えることも一応説明をしておこうと思っております。

ピントストッパーのギザギザのピントリングに鍵状にセットされているものは先端のネジを回すとピントリングの任意の場所にスライドできます。ここでピントストッパーを余白とも言える部分を解消して、正確にピントを合わせることができるのであります。

このピントリングでも六つ切りサイズや四つ切りサイズに合わせることが難しい時があります。

つまりはフォコマートのお釜の本体部分の高さの問題でございますが、ここの操作することで調整を図ることができますのでご安心を。全てにおいて計算され、写真を形にすることを明確に操作することが考え尽くされた機械でございますので、不足のあろうはずがございません。

まずはこの取っ手の部分を上に引き上げロックを外します。

その後に下のリングをクルクルと回すと。。。

支柱からお釜の本体が上に上がり、波型の溝がある部品を動かしてから真ん中に見えるピンの役割のボルトに合わせます。そして取っ手を下に戻してロックをかければ完了となります。

目安の数字が書かれておりますので、その高さまでセットしてあとは引き伸ばしレンズのピントリングで微調整をすることができる次第であります。

そして、もう一つサイズの調整とフォーカス調整に関して操作する箇所がございます。

こちらの黒い取っ手をくるりと回せばロックが外れて本体が顎をあげるように上下に作動します

目安の目盛が記載されておりますのである程度の調整はこちらを参考にされるとことをお勧めしますが、まあ本当に参考程度で構いません。

次にネガフィルムのセット方法になりますが、これも慣れないうちはどこを操作してよいのか分からなくなることもあるとは思いますが、慣れてしまえば簡単なものでございます。

こちらがフィルムのマスクになります。左側が35mm用、右側が6×9用となります。普段は左側の2枚目の写真のようにマスク用の収納棚に収めておくことができます。

お釜の部分の引き伸ばしレンズを装着する場所からすぐ上を引っ張り出すとこのようなキャリアが出てまいります。

正面から見るとこんな感じ

マスクもこのように間に差し込むようにセットすることができます。

キャリアはちょうど口を開くようにパカっと上げることができますので、この間にフィルムを挟む形になります。

ちょうどこんな感じになります。

マスクで挟むとこんな感じになります。マスクの型にフィルムの一コマを合わせて挟むという一連の作業となります。

セットしたあとは引き伸ばしタイマーをフォーカスに合わせてスイッチをオンにすれば、ネガから投影されるという仕組みなります。引き伸ばし機は基本的にこの一連の動作だけであります。

しかしながら、誰も説明もしないからしてもわかっているだろう体なので敷居が高いように感じますが、至って動作はとてもシンプルで難しいものではありません。

シンプルなだけに写真をプリントするという行為の中の技術的な部分が強く言われて、なおかつマウントを取ったりする人も多いことから、フィルム写真のプリントに関してもこと難しく言われがちでとっつきにくい印象を植え付けているのは間違いありません。

モノクロ写真であれば、本当にプリントまですることはとてつもなく簡単です。

薬液の希釈なども小学生の理科の知識で十分すぎるくらいです。むしろ理科の知識がなくても全く問題にならないほど簡単なのであります。

わたくしにとってはデジタルカメラのライトルームの方がよっぽど難解で困難な作業であります。

フィルム写真のプリントはシンプルで限りなく感性に依存するところが大きいので、表現者によっては無限の可能性を秘めております。

フォコマートⅡcはそんなプリントを楽しくさせる機械であることは間違いはございませんので、ライカでフィルムで写真を撮るのであればフォコマートでというのは頷けるのであります。

最後に引き伸ばしレンズについても説明を加えておきたいと存じます

一番右側の写真はわたくしの引き伸ばしレンズコレクションであります。

一番愛用しておりますのはシュナイダーのコンポノン、ロダゴンになりますが、フォコマートに関してはフォコターとエルマーを使っております。中央の写真と右側の写真であります。

普段はこのような形で防湿庫に保管しております。引き伸ばしレンズをそのまま引き伸ばし機にセットしたままはあまりよくないように思っております。なぜなら、薬液はそれぞれに気化しますのでレンズに与えるダメージは否定しようがありません。

わたくしは引き伸ばし作業を終えたら必ずどんなに疲れていようとも片付けを行うようにしております。レンズも全て綺麗に拭き上げてから防湿庫に移します。

いい作品を作るためにサポートしてくれる機械は大切な相棒でございますので、長く使うためにはやはり大事にしてあげなければなりません。

まあ、こんなに言ってもめんどくさいこともあるでしょうし、ある程度の横着したとしても全く問題はないと思っております。

ただ、何十年とそもそも使い込まれている機械ですので今まで頑張ってくれた分とこれからも頑張ってくれる分の感謝も込めて手入れはしてあげた方がいいと思っております。

総括としてわたくしが申し上げたいのは、フォコマートは最高の最上級の引き伸ばし機であることは間違いありません。もちろんわたくしもダーストという引き伸ばし機を使っておりますので、そのほかの引き伸ばし機も素晴らしいとしか言いようがありません、悪い製品を作ろうとする職人などは一人もいないのでありますから当然のことです。

わたくしはライカのフィルムカメラを心底愛しているからこそフォコマートを使っているのであります。フォコマートを使わないからといってそれは間違いでもないし、否定することも邪道だとも思いません。今までもこれからも他の引き伸ばし機も使っていく予定です。

何より引き伸ばしレンズの中にはとてもいい製品が揃っている上に、もう引き伸ばし機を作る職人はいないのであります。修理も製造もできず、今後もフィルム写真を支えていけるのかはわからない現状なのは変わらないのであります。

フィルム自体がこの時代になり、ウクライナ情勢や円安などで高騰しフィルム製造自体が困難な状況になりつつあります。

フィルムカメラがあったとしても、肝心のフィルムがなくなれば終焉の鐘は鳴り響くものでありますから、わたくしたち一人一人が写真を愛するものたちを否定したり排除したりすることなく受け入れ協力し合う関係でなければこの世界は破綻するしかないのであります。

伝え続けなければならない文化としてフィルム写真は存在するのであります。

使い方の説明についての修正も今後もやっていくつもりであります。

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