完璧であるというのはどういう状態のことを言うべきでありましょうか？
ひとつの欠けたもののない状態でありましょうか。
技術に関して表現をする世界では特にそのレベルを言いがちであります。
そして上下の立ち位置を加え始めます
完璧になろうとするのは目標であり、数多の芸術家が目指しながら煩悶して切り開いていくものであります。
完璧でなければ表現をしてはならないというプレッシャーに自分を追い込んではならないと思っております。
外部からもそのようなプレッシャーがございます。
もし仮に技術が完璧で誰の目にも誰の口をも唸らせるものを持っていたなら、わたくしたちは満足するものでありましょうか
完璧な技術を目指して悩み苦しみ、その手から生み出されるものを人に喜んでもらえることこそが大切なことで忘れてはならないものであります。
よく表現に関して口さがない方がいらっしゃいまして、あれやこれやと指摘し、忠告めいたことを言われることもございます。
ですが、それがなんでありましょう。
わたくしが、悩みながら、苦しみながら、楽しみながら生み出したものはそれだけで世界で一つだけの形でございます。
技術云々の前に一人の人間の表現なのですから
暗室の中で写真を生み出す技術を持っているならば、それに上下をつけることはなく明日にはよりよい写真を目指して葛藤していくことが尊いことだと感じる次第であります。
技術だけを追い求めるそれを残していきたいを思っているのとはわけが違います
わたくしと言う人間を知ってもらうためのものであり、そしてそこで出会う人を知るための表現なのでございます。