現像と手焼きプリントについては、積み重ねでございますので、必ず記録兼日記をつけております
パソコンやiPhoneなどに記録するとデータが飛んでしまう恐れもありますので、必ず手書きのノートに書き綴っております。
いい出来の場合もあれば、もちろん出来の悪い時もあります。それらを詳細に記録していってよりいい写真を、作品を作る糧としております。
6×6の写真の現像は、もっぱらagfaのcopex rapidというフィルムを使用していますので、dokuspeed現像液にて行っております。
A液とB液に分かれておりまして、撮影感度によって希釈率を変えるものでございます。わたくしはもっぱら最低感度の12に合わせております。
フィルムの感度は、フィルムの外装などに記載はされてはいますが、使う現像液によって決まります。つまりは写真を撮る前から現像液は何を使うのかを決めておかなければなりません。
外装に書かれている感度は、おおよそくらいの目安であります。100と表記があっても、そのくらいの感度だと理解しておかないと黒潰れや白飛びなどの写真ができてしまいます。まあ、ある程度の領域幅がありますので、使っていって慣れるものでありますので、そこまで神経質になることもありません。もちろん、技術が上がれば注意をしなくてはならないところでもございますが。(増感現像などの処理方法もあるため。増感現像という方法については、この言葉自体がかなり不明瞭であり、増感処理であるのか増感現像なのかそれ自体も曖昧であります。なんのことだと思われると思いますが、後々嫌でも知ることになる処理方法でありますが、うまく説明しないと誤解を招く恐れがありますので、ここでは割愛いたします)
そのため、現像日記が必要になってきます。
なんのフィルムを使用したのか、現像液は何を使ったのか、仕上がりのほど、うまくいかなかった部分などを今後の写真のために記録しておくのがわたくしのルーティンであります。
新しいフィルムなどを使った際にも、現像日記は役に立ち、手焼きの際は特に役に立ちます。
かの植田正治氏は「フィルムを熟成させる」という表現にて、仕上がったフィルムを事あるごとに振り返っていたそうですが、わたくしも僭越ながらそのようにしており、忘れた頃に見返すといい写真であったものが出てきて、手焼き引き伸ばしをしたくなったりします。
そうなると、半年前のものでも忘れていることが多く、なんのフィルムであったのかや現像液は何を使ったのかを再確認することができ、ああこのフィルムだったか。もう使ってなかったけど、もう一回使ってみよう。このシチュエーションで使えるかも知れないなどと思い返すことが多々ありますので、記録をつけるのはアナログ写真にとっては最重要かと思っております。
また現像を始めた頃は停止液や定着液がどの程度使用可能かといった目安を感覚的に覚えるためにも処理用液をいつ希釈して使い始めたかの記録も取っておくと後々役に立つかとも思います。
慣れてくれば、おおよその目安もわかりますし、定着液の疲労度などを測る方法も覚えると思いますので、それまでは日記をつけておくと良いと存じます。
手焼きについても同じことが言えます。どんな処理方法を行なったかなどの詳細なデータを残しておくことが軌跡となり、良い作品作りにつながると信じております。
アナログ写真は、誠に手間のかかるものですが、じっくりと写真と取り組むことで見えてはいなかったものについても、何気ない日常の、過ぎ去っていくものを自分の心に留めおくことが形となって表すことができるものと思っております。