現像の日々はひたすらに楽しみでもございます。
嗚呼、こんな楽しいことを写真をされている方に知って欲しいと切に願いつつも、なかなかに揃える道具もありますので、少しばかり面倒なことと、敷居が高いと感じてしまうのかも知れません。
しかしながら、現像は奥深く基本的なやり方はとても単純でもありますので、是非とも興味が出たならばやってみてもらえると楽しさはこの上ないと存じます。
何より、フィルムに自分の撮った写真が映し出される感動は毎回楽しく、そして反省し、「ああ、ここをもう少し変えてみたらよかったなあ」などと独り言を言いつつも、笑っている自分に気づきもします。
そんなことを一人でやっております(寂しいやつだと思われましょう。事実友人はおりません笑)
写真の方法や機械についても、正直申しまして、このあたりの写真技術で必要なことは揃っておったのではないかと思っております。
報道関係などはデータのやり取りで行うことによって便利にはなったのでしょうが、以前印刷関係の方とパイプを吸いながらお話しさせていただいた時には、
「デジタルの移行で便利にはなったけど、その分工賃などは安くなったりでね。しかもデータのやり取りで行うからと納期も短縮されたりして、あまりいいことはなかったなあ」
とため息混じりに言われておりました。確かにいち早く報道をしたり、その場でお客様に確認してもらうためにはデジタルカメラは必要であったのでしょう。
しかしながら、表現の写真には急ぐ必要はございません。じっくりと自分の作品に向き合うことができるのがフィルム写真のいいところでもございます。
デジタルは仕事で使用するのにはとても適していますので、それはそれで便利でございます。
フィルム写真が、微粒子であるとか、雰囲気があるとか、そんなことは言っても詮もなきこと。
ただ単純に急ぎすぎず、そしてなりよりも楽しいということがフィルム写真でございます。
現像タンクの中でゆらゆらと、誕生を待つ我が子になぞらえて、生み出される。
さて、現像をするにはもちろん道具が要ります。
他のサイトで必要なものは調べることができますでしょうが、念の為に列挙しておきたいと存じます。
まずは現像タンク。これはいくつかのメーカーから出されており、それぞれに一長一短。
わたくしは、ヨーボというメーカーのものとピーターソンというメーカーのものを使用しております。35ミリフィルム用と120ミリフィルム用と分けており、ヨーボの現像タンクは薬液の量を併用できますので、便利でございます。
ヨーボの現像タンクは種類が豊富で、拡張ができるのがいいところで、薬液も35ミリ用と120ミリ用で併用もでき、大変使いやすい上、薬液の交換がとにかく楽でもあります。
ただ一つリールの構造が若干使いにくいところがあるかなと感じます。フィルムベースが薄いフィルムをリールに巻きつけるときにかなり苦戦します。最初はイライラするかも知れませんが、慣れてしまえば、テレビを見ながらでもできましょう。
写真のように間口が広いので薬液を入れるのも出すのも素早くできて楽でございます。
ピーターソンの現像タンクは、フィルムのサイズ、本数によって薬液の量が変わります。少しばかり容量が大きいので、薬液も付随して使用量が多くなるのがネックといったところでございましょう。
リールは大きく使いやすい上に巻き取りが非常にし易く、初めて現像をしようと思った方はこちらのピーターソンの現像タンクで慣れるのが良かろうと存じます。わたくしもこの現像タンクではじめました。
しかし、この現像タンクのデメリットは間口が狭いことで薬液の交換作業がもたつくというところにあります。漏斗がないとかなりの確率で溢れます。
薬液を入れる量が多いため、攪拌作業時に若干負担がかかりますので、注意が必要でもあります。
どの現像タンクもそれなりに使い易いところ使いにくいところはあるものの、使っていくうちに慣れてきますので、さほど気になることはなくなると思います。
現像タンクを購入しましたら、現像液・停止液・定着液を入れるボトルが必要になります。最低3つのボトルが必要になり、容量は600mlから1ℓくらいのもの。
さらに水洗促進剤などを入れるボトルも必要になるかと思われます。ボトルは状況に応じて増えていくと思いますので、置き場所の予定も考慮に入れておいた方が良かろうかと思われます。
あとは薬液の希釈用ビーカー、メジャーカップ、メスシリンダー、温度計、漏斗、タイマー(スマホのアプリでも可であるが、複数の時間を測れるもの)
これだけ列挙してみても、確かに面倒ではございます。
こういった類のものは少しづつと思いますが、後々必要なものは増えていきますので、いっぺんに揃えた方が良いと思われます。
ここまでして、フィルム写真をする必要はあるのかと申しましたら、そのかたの感覚にもよるところは大きいものの、達成感はございます。ここまでして初めて現像したフィルム写真をぶら下げるときの喜びといったら、筆舌に尽くし難いものがございます。
実感がなければ返金を承ります。と言いたいところですが、現実的にむずかしいことでございますのでご容赦願い奉ります。申し訳ございません。
自家現像については、フィルム写真に親しんでからでも良いと思います。
最初は、近くのカメラ屋さんで現像をお願いして、ネガが出来上がる喜びと楽しさを感じて、もし自分で撮った写真を自分の手で作ってみたいと思われるようになったときに道具を揃え、色々を思案しながら初めて見るのがよろしかろうと思います。
一人でも多くのアナログ写真が好きな方が出来ますれば幸いでございます。