世界は美しい、生きるに値する
とはヘミングウェイの言葉であります。
セブンのデビットフィンチャーは映画の中で前者だけは賛成すると申してもおりましたが、どちらかというとデビットフィンチャーの方がしっくりきてしまうのは現代の生きるだけでも苦しい実情を感じているからでありましょうか。
皆様はもののけ姫という映画をご存知でありましょうか。もちろん宮崎駿監督の大ヒット映画でございますが、その中で主人公のアシタカが村を出ていかなければいけないシーンがあります。
わたくしはそのシーンがとても好きでありまして、このシーンはなんでも村をおわれたアシタカの心情に同情した宮崎監督がアシタカへのせめてものたむけとしたシーンと言われております。
アシタカの心は怒りと憎しみと理不尽な仕打ちに真っ黒に染まっている状態であり、そのアシタカへそれでも世界は美しいだということをせめてもの贈り物として美しい背景の中をヤックルでかけて行くシーンにしたそうです。
わたくしも同じように、心が真っ黒になりそうな時がございます。
米櫃が底をつくときの惨めな気分は子供の頃から味わってきておりますが、慣れるということは一度たりともございません。
誰しもこんなことを味わわなければ、芸術家であるべきじゃないなどとも言われません。
わたくしが風景写真を撮る理由は、まさしく上記の通りで「世界は美しい」ということを、米櫃が尽きた時にさえ感じる心を、理不尽な仕打ちや怒りや憎しみに駆られる時でさえ、せめてこの生きている世界は美しいといことだけは感じて欲しいと思っております。
生きるに値するかどうかはわたくしにもまだわかりませんが。。。