長崎の個展が終了してから、ありがたくもフィルムの現像や手焼きプリントのご依頼をいただくことが多くなってまいりました。
自分がアナログ写真でご提供したいものは、体験と意味です。
フィルムの現像を行なって時空を超えて蘇ってくる「あの時」の瞬間の感情。
形として手に触れなければわからない。画像ではない写真という本来の意味です。
手焼きプリントを自宅で眺める時、その写真は人生の一ページとして記憶から去来する感情を揺さぶります。
自分が誇りにしていることは、その瞬間を作り上げた「永遠」を作り上げたご依頼者様のお手伝いができる技術を持ち合わせたことです。
パソコンに堆積していくだけの画像は時間の流れとともに忘れ去られていきます。ネガは形になって、そこにあるんです。そして「永遠」になる時をずっと待っている。
プリントされて手に取った時、時間は超えて、空間は拡張される。
家族が笑った時、泣いた時、一緒に。カメラに収めた瞬間の連環が巡って、人生の意味と絆を作り上げていく。
自分はそのお手伝いをして、喜んでもらいたい。写真は本来は喜んでもらうために生まれたものです。
ご依頼主様がSNSにて投稿していただいたものです。このお手伝いをできたことは光栄であり、これ以上ない幸福です。
常に「永遠」がそこかしこに存在していて、見逃すほどの小ささではないのです
写真は、見落としてしまう幸福という存在を拾い上げることができる人類が生み出した最高の機械です。
アナログであろうとデジタルであろうとそれは変わりありません。
こんな苦しい時代だからこそ、形にすることで得られる特別な時間があります。

