言葉は深く浅く限りなく広がり
留まることなく人々の間を流れていく。
写真も同じように浅く深く広がり
留まることなく記憶の間を流れていく。
浜辺から沖に足を踏み入れようとして、
次第に足はつかなくなり、
泳ぎ始める。
上手く泳いでいるつもりでも
時に疲れ、溺れるかもしれない。
足のつかない恐怖にとらわれることもある。
波は容赦なく顔を覆い、遠くに見える雲は不穏だ。
それでも、海が美しく見える。
夕日が沈むとき、水面に体を横たえていると
自分の魂も溶け始める。
海なのか自分なのかすらもうどうでもいい。
青いのか、群青なのか、白いのか、蘇比色なのか、
色もまた浅く深く限りなく広がる。
留まることなく世界を彩り流れていく。
いつか流れは緩やかになり、
言葉も、写真も、色も、人も、心も、
最後に全て留まる。
いま、目の前に見えている愛すべき人の瞳に。